夏になると決って思い出す事がある。
それは幼少の頃、母と一緒に行った鹿児島のこと。
鹿児島には僕の母の実家があって、夏休みになると一緒に帰っていた。
その当時、僕にとっての夏の一大イベントはまさにそれだった。
母の田舎で過ごした時間はもちろんのこと、
鹿児島へと向かうその道中もまた新鮮で本当に素敵な時間だった。
幼少時代から電車好きだった僕はブルートレインで田舎へ行くことを熱望し、
気が付けばいつも行き帰りはブルートレインになっていた。
はやぶさ、あさかぜ、さくらにみずほ。
色んな列車に乗せてもらった。
そして車中、いくつかの出逢いもあった。
夏の眩しい日射しに思わず目をつぶると
そんな記憶が瞼の裏に広がる。