僕は牛丼が好きだ。
同年代の中では比較的よく食べる方だと思う。
吉野屋、松屋、すき家、、、その日の気分で色々なお店に行く。
お店で出される”それ”は何処で食べても同じ味になるよう、システム化、マニュアル化されている。
もっともこれは牛丼屋に限ったことではなく
全国展開をしている大型チェーン店全てに言えることである。
ただ、僕は一度としてそれらを同じ味に感じたことはない。
何故かといえば
カウンター越しにそれらを提供してくれる人の些細な言動や表情で
美味しくもなり、不味くもなるからだ。
僕らは僕らが思っている以上に繊細で素直なのだと思う。
ファーストフードとはいえ、侮るなかれ。
朝方まで仕事をし、ちょっと小腹が減って立ち寄った牛丼屋。
嫌みのない、気持ちのいい笑顔で「お待たせいたしました。」
の言葉と共に差し出された牛丼は、ひと味もふた味も違う。
大袈裟に聞こえるかもしれないが僕にとってはそうなのである。
だからいつも以上に美味しく頂けたそんな時は
大きな声ではっきりと、だけど何所かさり気なく一言
ごちそうさま。
そう言ってお店を後にする。